雇用保険の失業保険は、働く意思のある方が失業したときの所得保障です。一方、老齢年金は、仕事をリタイアした方のための老後の生活保障です。このように2つの給付は制度趣旨が異なるため、両方もらおうとすると一方に給付制限がかかります。具体的には、失業保険をもらっている間は、老齢年金は支給停止になります。

ハローワークに行って「求職の申し込み」をすると、翌月から老齢年金は支給停止されます。ハローワークで何かに記入したら、それが求職の申し込みで、知らないあいだに年金が止まってしまった、ということがよくあります。求職の申し込みをする前に、失業保険がいくらになるか確認して、失業保険と年金の多い方をもらうようにしてください。

失業保険をもらっているあいだ支給停止されるのは、64歳までもらえる特別支給の老齢厚生年金だけです。65歳からもらえる老齢基礎年金と老齢厚生年金は関係ありません。特別支給の老齢厚生年金は65歳到達月まで支給されます。65歳到達月とは、65歳の誕生日の前日が属する月のことです。つまり、求職の申し込みをするとその翌月から年金は止まりますが、65歳到達月に求職の申し込みをすれば、その月に特別支給の老齢厚生年金をもらい終わるので、年金が止まることはありません。

求職の申し込みをした翌月から年金は止まりますが、一度も失業保険を受けなかった月があると、その月の年金はもらえます。ただし事後精算になるので、受け取るのは2ヶ月後以降と遅くなります。